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七夕フェア第１弾



〜遠距離恋愛の法則〜



Side　Ｄ







７月５日





やっとのことでもぎ取った休暇はそれも２日ばかり。

「２日…か…」



世紀末だか何だか知らないが、物騒な世の中になった。

あの戦争を…体を張って終決させたのに。

人はいつも同じことを繰り返す。

何故争いの中にしか生きられないのだろうか。



そんなこんなで、どうしてもプリベンターの出動要請が多くなる。

が、完全にこの人員ではまかなえるはずもなく。

しかしどうしてもある一定のレベル以上の能力保持者でないと勤まらないために人は一向に増えない。



緊急な任務で出動の連続、その上籍を置いている大学のレポート提出が５つほど。

スキップを重ね、すべての修学をクリアしたは良いが、

ここぞとばかりに教授たちは自分たちを、別な意味で重宝しだし。

あの戦い。前線を生き抜いてきた猛者…。

飛びぬけた頭脳と体力はどうしても奇異のまなざしで見られがちで。

別になれたわけではないけれど。

もう自分たちの運が良すぎ（悪すぎ？）だとしか言いようがない。

自分でこれなのだ、あいつなんか休み自体を取っていないだろう…任務バカのなせる技だ。

「はぁ…」

これじゃあシャトルかっぱらって飛ばしたとしても片道だけで終わってしまう。

電話もメールも何もかも、こちらからアクセスしなければ向こうからはまったく音沙汰なしだ。

忙しい間をぬってやり取りしていたがそれももう限界。ここ１年、声すら聞いていない。

「たった２日じゃ何もできねぇじゃん〜…」

こんなはずじゃなかったのにな…。

ため息ばかりがこぼれる。



「心ここに在らず、なのにミス一つしないのだからな」

デュオの気持ちが痛いほどわかるノインが苦笑混じりに話し掛けてきた。

「オレってば優秀だから」

舌を出し、ウィンクしながらいった言葉は半分真実で半分が嘘。

優秀でもなんでもない。体に染み込んだ技術はよほどのことがない限り消えることはないだろう。



「声だけでも聞ければ良いではないか」

ノインの言いたいことは分かる。彼女の相手は遥か星の彼方だ。

しかも任期は３年、下手したらもっと伸びるかもしれない。

それに比べたら宇宙空間でシャトルが往航しているこの時代、行こうと思えば２日で行ける。

しかし相手も中枢に位置する技術者だ。

いくら同じ立場だとはいえ場所が違えば直ぐにはアクセスできない。

メールもチェックは入れてくれるようだが返信は稀だ。

「あいつ…オレの事、どう思ってんだろう…」

自称恋人としては、あまりにもそっけない相手に気落ちしてしまう。

思い浮かべれば、募る想い。

「すまないな、これしか休みを与えられんで…」

「ノインさんのせいじゃねぇよ」

そう、これは自分のせいでもあるのだ。

進んで選んだわけではないが、最終決断をしたのは紛れもなく自分なのだから。

「残りパパッっとやっちまおっかね〜」

伸びをして、机の上の書類を手にとった。

『クロレツィア主任。至急技術長官室までおいでください』

毎日のお呼び出し。それでも今日は回数は少ない。

「それが終わったら引いていいから」

それだけ言うと、ノインは部屋から出て行った。

「ふぅ…」

手にした書類。しかしやる気が起こらなくて再び机の上へと手放した。

「オレ…なんでこんなにもあいつのこと好きなんだろう…」

つぶやいた言葉は、しかしデュオの心に空しく響くだけだった。




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