DEEPVERSE 1 　夏休み入って久しぶりに部活もないので、太一はいつものごとく家には戻らずヤマトの家に転がり込んだ。 　夕飯も食べて後は風呂に入って、久しぶりに…と算段を立てていた思考に入ってきたのは。 「ん？」 　気がつけばヤマトは咳をしていて。 「大丈夫か？」 「あ、あぁ…。ライブ近いからな、抜かりはないさ」 　それでもコホコホ鳴らすのは、見ていて痛々しい。夏風邪は特に治りにくいので。 「俺に移すか？」 「ば〜か。お前だって試合あるくせに」 　それでもキスをねだってくる太一に、ヤマトは仕方ないなぁと頭に上がらせない程度にちょこんと唇を寄せると素早く逃げた。 　当然抱き寄せようとした太一の腕が空振りに終わる。　 「ヤ〜マト〜」 「うるせぇ！」 　夏のある日の午後。 　その翌日のこと。 　お台場中学校も中間テスト最終日。タケルと大輔、そしてヒカリはそろって帰宅中。 「今日お兄ちゃん戻ってくるんだ♪」 「太一さんが！？ヒカリちゃん！今日行っていい？？」 「会えないよ、大輔くん」 　久しぶりに会えるかと喜ぶ大輔だけど、水を差すのはいつもタケル。 　うるさい、と大輔が言い返し、岳君焼き餅〜とヒカリが返せば、なぜか大輔が顔を赤らめるのが日常で。小学校５年時からいつもと変わらぬメンバーだ。 「でもタケル君当たってるかな…お兄ちゃんてばいつもヤマトさん優先なんだもの。あ…」 　噂をすれば何とやら。陽の光を弾く金の髪は、曇りの下でもその輝きは衰えない。だが心なしか動きがおかしいのは気のせいか？ 「兄さ…」 　タケルが声を掛けようとして手を挙げた瞬間、ヤマトの姿は歪み、消えてしまった。 　それは一瞬のことだった。 「何、だ？今の…」 　ヤマトが消えた場所へ駈けよるヒカリ。続いてタケルと大輔。 　そこにはヤマトの鞄が落ちているだけだった。 「兄…さん…！！」 　無意識にＤ３を取り出すが反応は無かった。 「何で！」 「タケル！！」 　取り乱すタケルを大輔はきつく抱きしめた。 「絶対！大丈夫だから！ヤマトさんは無事だから…！」 「大…輔…く…」 　焦点の合わなかった眼が次第に光を帯び、大輔を捕らえてゆく。 「タケル君…」 　こんな取り乱したタケルは初めて見た。タケルは常にヒカリを守ることを優先していたから。取り乱すようなことは無かったのだ。ただ彼女が知らなかっただけなことなの だが。 「ヒカリちゃん！太一さんに連絡！」 「え、あっはい！」 　大輔の勢いに飲まれ、ヒカリはポケットから携帯を取り出した。 next --------------- 久しぶりのデジアップです。８月１日計画。ギリギリ間に合ったか…（汗） やっちゃいますクトゥルー神話ネタ！一応最後までは大まかな形はできているのですが…何分絵描きなものですから文章はヘタッピですが勘弁下さいです！！一日アップいけるかにゃ。 20050801