DEEPVERSE 2 「ゲンナイさんからの連絡ではヤマトさんはＤＷ（デジタルワールド）にはいないと…」 　泉宅に集合になったのはそれから三十分後。 　光子郎の回答に皆が落胆した。 「じゃあヤマトは何処に…？」 　空の言葉に太一は顎下に手を当てた。 　ＤＷは無限のフィールド、ゲンナイの管轄外へ跳ばされた可能性もある。そう… 「インスマウス…」 　ヒカリがポツリと呟く。 　ヒカリにとって因縁深い場所。いや、ヒカリだけでなく… 「俺が行く」 「お兄ちゃん！」 　闇からの介入は過去数度あった。でも乗り切ってきたのだ、今回も何とかなるさ。 「分かりました」 　光子郎は一度目をつむるとＰＣへと向きなおった。 　すさまじい勢いで画面がスクロールされて、最後に開いた窓は暗闇。 「タイムリミットは３時間です。これ以上かかれば防御は崩され、取り込まれる可能性は大きいですから気をつけてください」 「サンキュー」 　ゲンナイの助けも得て、太一はかの地へ降りたった。 「残念ながらここから先は私の力は及ばない。気をつけるのじゃぞ」 「サンキュー、ジイさん」 　暗い闇。 　少しずつ大きくなってゆくさざ波。 　闇に心を閉ざした者だけが辿り着ける場所。 　しかし、関係なく引きずられてしまう者もいる。 「胸くそわりぃ…」 　左腕に取り付けた機械はデジヴァイスを一度データ化し形を変えたもの。光子郎のカスタマイズのおかげで機能は拡張している。 　画面に触れると中空にデジタルフィールドが展開し、自分のいる場所が表示された。そのまま表示フィールドを拡大させて行き先を確認していれば遠くから自分を呼ぶ声が。 「太一さ〜ん！！」 　その方へ顔を向ければ、駈けよってくる人影は二つ。しかも先ほど分かれたばかりの人物。 「大輔！？岳も！」 「来ちゃいました〜♪」 　嬉しそうに太一に駆け寄る大輔に、タケルが複雑そうな表情でその後から駆け寄った。 「来ちゃいましたじゃねぇだろ！！ここは危ねぇんだ！早く戻れ！！」 「戻りませんよ。お兄ちゃんを助け出すまでは」 「岳！喧嘩しにきたんじゃないんだからっ！いえ、違うんすよ太一さん」 「？」 「光子郎さんが闇の力を弾くようカスタマイズしてくれたんですよ。戦力になるからって」 「岳ならともかく大輔、お前がか〜？」 「ひっで〜太一さん！！」 「冗談冗談(笑)」 　一枚のカードを太一のデジヴァイスにスロットインさせると、一瞬太一の体が輝きだすが、すぐに消えた。 　先ほどまで闇に引きずられそうだった意識が、まるで防御されたかのようにはっきりしてきた。 「流石は丈と光子郎の作ったのだな…」 　ぽつり呟き、二人に感謝した。 next --------------- 太一たちが腕にしているのは、イメージ的にはロックマンのＰＥＴと遊戯王のデュエルディスク。はい、趣味丸出しでごめんなさい！！！ヤマトは囚われのお姫様のままです…（汗） 20050805