SHINING STAR〜わたしだけの翔星〜6
「ありがとう。お姉ちゃん、お兄ちゃん」
少女は風船を手すると、お礼を言って嬉しそうに駆けていった。
そうして残されたのはルルーシュとスザクの二人。
願っていたいたがあまりにも唐突な再会に、逢えたら色々話したい事はいっぱいあったのにいざその時を迎えると一体何を話したら良いのか分からない。二人ともなんとなく居心地が悪くて沈黙が続く。
「か、変わっていないな、お前は」
先に言葉を発したのは沈黙に耐え切れなかったルルーシュの方だ。ちろちろ横目でスザクを見ながら少しだけ頬を染めた。
抱き留められた腕はルルーシュを余裕で受け止めた逞しい腕。
そういえばあの夏も、と思い出す。スザクに負けじと木に登っは良いが、結局は足を踏み外して落下してしまったルルーシュを、スザクは身を呈して抱きとめてくれた。あの時のスザクはまだ体も小さかったことから受け止めきれず尻餅をついてしまったが。それでもルルーシュは怪我一つ負うことは無かった。
いつもそうだった。心配げな顔を見せつつも、自分のを尊重してくれてやりたいことをやるルルーシュをスザクは何も言わずやりたいようさせてくれて、危険がないよう見てくれていた。動物が大好きで、鳥やリスがいつも側に近寄ってきて、優しい心根の持ち主。
だから好きになったのだ。
昔は少年らしいふっくらしていた顔立ちは、頬の肉が落ち青年らしい精悍な顔つきに変わった。新緑を思わせるその翡翠の瞳は変わらず優しい色を浮かべていることが嬉しい。
「そっかな。そう言うルルは…変わったね」
頬を掻きながら苦笑するスザクだったが、その先に続いた言葉にルルーシュは顔を真っ赤にさせた。
「とても綺麗になった」
「ばっ！」
熱くなっていく顔に見目にも赤くなってのが想像するに容易く、いたたまれなくなる。
「ルル？」
反らした先に見えたアイスクリーム屋に、ルルーシュはいきなり立ち上がると駆け込んだ。
「イチゴミルク」
お金を払おうとしてスザクに先に越される。
「御馳走させて？」
スザクの笑顔は有無を言わさず、ルルーシュは小さくありがとうと言ってアイスクリームを食べる振りして顔を隠した。
「さっきの撤回」
ルルーシュの小さな呟きは、隣にいたスザクにははっきり聞こえていたようだ。
「何が？」
向けてくる笑顔にやはり目を向けることが出来なくて、隠し半分で叫ぶ。
「…やっぱりお前変わった、タラシになった！」
「あはは」
ルルーシュのやけになった言い方に、スザクは思わず笑ってしまった。
アイスクリームを食べたことで少しは落ち着いてきた。残った紙を丸めるとゴミ箱へ放り投げる。ゴミは綺麗な弧を描いてゴミ箱の中へ。
上手だと、スザクは拍手を送って、ルルーシュは少しだけ得意顔になる。
「ところでルルはどうしてこんなところに？」
しかし話を切り出したスザクにルルーシュは思わず表情が固まった。
「そう言うお前こそどうして…？」
まさか親に決められた許婚と結婚させられるのが嫌で家を抜け出してきたとは言えず、逆にスザクに問うことで質問をすり替えたルルーシュだったが、そこで初めて気が付いた。スザクは日本にいるはずではなかったか。いくら交流国とは言えまだ学生だ、この時期・この時間にこのような場所にいること事態おかしい。
「いや、その…家の都合で…。でもまさかルルに逢えるとは思ってなかった」
スザクもまさか親同士が決めた許婚を自国へ連れ帰るよう言われて、などと言えるはずも無く。
「覚えてる、ルル？最後の別れの日に約束したこと」
忘れるはずが無い。あの時の約束の為に今まで自分は生きてきたのだから。
コクリと頷く。恥ずかしくて顔を上げられないルルーシュに、スザクは優しい笑みを浮かべた。
その為だけに、自分は料理も裁縫も。腕を上げたのだから。
『スザクのお嫁さん』になる為に。
しかし今ルルーシュは危機の直面に面している。このままでは知らない人と結婚させられてしまうのだ。
「スザク…俺…！」
はっと気付く。遠くを歩く黒服の男達の姿に。どうやらこちらは死角にあたるようで気付かれていないようだが、見つかるのも時間の問題だ。
怯えだしたルルーシュに、スザクはその視線の先を見咎めると、立ち上がって手を延ばしてきた。
「移動しようか」
ルルーシュを安心させようと、スザクは笑顔を絶やさないのだ。
「あぁ」
差し出された手を迷うことなくルルーシュは取った。
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読んでる方はもうオチはお分かりかと思いますが。もう暫くお付き合いください。次は苦手ででも大好きな戦闘シーンっす♪ラブラブシーンもあるけれど（笑）
20070117
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