●愛ランド





　フォルテが帰った後、ポップの手には分厚い封筒が残された。
　豆姫からの預かりもの。フォルテはそう言っていた。
　豆姫と言えば、太陽神の聖なる巫女の事。
　いったい何が…？
　ポップは深呼吸をし、自らを落ち着かせると、そっと封筒を開けた。
「何だ…？」
　其は幾重にも畳んだ、大きな一枚の紙の様だった。
　頭の上に『？』を浮かべながらも、ポップは破らない様に慎重に伸ばしていく。
　なんと紙は最終的にテーブルの上におさまりきらず、部屋の半分以上を覆う大きさになった。
「な、何なんだ〜」
　只の白い紙に見えた其は、ポップが開ききった瞬間に淡く光を放ち、まるで蜃気楼の様な幻を浮かび上がらせた。
　其は巨大な都市の図面。
「いったい何処の…？」
　建物の1つにポップの指先が触れると、其は途端に平面図へと様相を変えた。そして文字が現れ、この建物が何なのか教えてくれた。
「はあ？『図書館』？」
　意味が判らず、ポップは更にいくつかの建物の幻に触れてゆく。
　浮かぶ文字は『鍛練場』『食堂』『浴場』。そして都市の中心に一際大きい神殿は『寝室』。
　――ポップの顔から血の気が引いた。
　大きな都市の図面だと思っていたのだが、おかしいのだ。
　普通の都市ならある筈の、民家が、一つも、無い。
　そして、中心地の建物に浮かぶ『寝室』という文字。『神殿』でも『王宮』でもなく『寝室』。
「まさかまさかマサカ？！」
　大きな紙の隅々まで見回して、端にやっと直筆の文字を見つけ読んだ時、ポップはその場に突っ伏した。
『お前らふーふの居住区の図面だ！何時でも、つか今すぐ来ても住めるぜ！』
「せ、聖妃神…！」
　聖妃神の言葉を信じるならば、既にこの恐ろしくもある『二人の為の都市』は天界に建築済みなのだ。
「あははは」
　とりあえずポップは、ヒュンケルに見られない様に紙を畳み始めた。
「あはははははは(￣▽￣;)」
　こういう時に限って良い知恵はすぐには浮かばず、出てくる物と言えば乾いた笑いのみだった。


終わり(笑)



（askｻﾏ）
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豆姫だったら素敵にゴテゴテした神殿とか、造ってくれそう(笑)ポップの口調が良く判らなーい豆姫の事を何て呼んでるん？
20071012