●平和なひとこま





　コンコン！

　キラは風の大魔道士クロスの執務室をノックした。そこにはアレンがいるはずなのだが…応答がない。
「アレン…？」
　ガチャッとドアを開けて中を覗く…だがやはりアレンの姿は見えない。
「……？」
　キラは中に入り周りを見渡す。すると、奥の応接室の方から気配を感じ近付いて行った。
「………」
　テーブルの上に魔術書と飲みかけの紅茶が置いてあるところをみると、読書の途中でダウンしたらしい…。
　最近忙しくて(いろいろな意味で…)ろくに寝れていなかったみたいだから無理もない…と思いつつも、キラはその姿にため息をつく。
「(まったく…)そんな格好で寝ていたら体をおかしくしちゃうよ…」
　それにこんな無防備なの、襲ってくれって言ってるようなものじゃないか…。
　キラの頭の中で殺すリストNo.2の顔がちらついて、思わず拳を握り締める。
　だが、今いない相手のことでムカついてもしょうがないので、キラはアレンに近寄り、ブーツを脱がせ、足をソファーの上にのせて寝やすいようにしてあげる。そして一瞬考えるそぶりを見せ、何かをアレンの上に施した後、その上からマントをかけた。
「おやすみ、アレン…」
　苦労性の妹の髪を手で優しく梳きながら、この後起こるであろう出来事にほくそ笑み、キラは意気揚々と出て行った。

　30分後…。

　神田は無防備に眠るアレンを、今まさに襲おうとしていた。寝込みを襲うなんて最低だと、リナリーあたりに見つかったら殺人キックが飛んできそうだが、据膳を喰わないなんて、男として有り得ないだろうと身勝手な事を思いながらマントをめくり、アレンに手を伸ばした。
　その瞬間…
「！！！！」
　一言も言葉を発する間もなく神田の姿は、その場から掻き消えた。
　魔法の発動を感知したキラは、その方向に目を向ける。
「キラどうしたの？」
　ステラはすかさず気がつき声をかける。
「うん、ちょっとね…」
　キラはニッコリと微笑む。
「キラ何だか楽しそ〜！」
　ステラもニッコリと笑う。
「さっきはった罠にエモノがかかってね！」
「え！！それって美味しいのかな！！」
「ダメ！あんなもん食べたらお腹壊すよ！」
「そーなの？ざ〜んねん！…あのね、ステラお腹空いちゃった！」
「そうだね…そろそろお茶の時間だね。」
「アレンも一緒がいい！」
　ステラ呼びに行ってくると、立ち上がった娘をキラは笑顔で見送る。

　うららかで平和なマ協会のある一日の出来事であった。

終わり(笑)

（クズハｻﾏ）
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神田がかなり変態ちっくになってしまった……まぁ、いつものことだが…
20071102