a little pain




　久しぶりの休暇に羽を伸ばそうと、アスランは途中のまま手付かずにいた機械工作を広げた。本当は早く仕上げたかったのだが、トラブル続きで休み以前に休息も取れない始末で。この度やっと一段落ついたこともあって上司であるキサカが無理矢理与えてくれた休みである。アスラン的にはまだ余裕があったが、周りとの兼ね合いもあり、ありがたく受け取ったのだった。
「よし」
　気合を入れて、集中すること１時間。最後に接合部分を熱で溶かしパーツをつけようとした時ノックの音が。
「はい」
「アスラン。今いい？」
「キラ？」
　思ってもみなかった声に、アスランは慌てて立ち上がると扉を開けて中へ招きいれた。親友は現在、世界を繋ぐ歌姫と共に飛び回っていて、普段中々会うことができない。時折メールでのやり取りでお互いの元気を知るところである。でも久しぶりの再会に感動するか、と言えば否で。それは長年来の付き合いということで。
「そうか…、今日だったのか」
　カガリから話は聞いていたが日程までは聞いていなかった。多分ゴタゴタ続きですれ違っていたので伝え忘れたのだろう。
「わ〜相変わらずやってるねぇ」
　アスランの製作した第一作品であるトリィは、キラの肩の上からキラと同じように床に広がった工作具を覗いている。
「何時こっちに来たんだ？」
「昨日遅くに。来週コンサートなんだ」
　今日は移動前の休息ということらしい。
　現在ラクスは戦争の爪跡を残す地を優先的に親善活動を行っている。そのため少しでもスケジュールが空いているとマネージャーも通さず予定を入れてしまうので困るとはキラの談。
「キラ、触るなよ」
　苦手なくせに手を出したがる困った親友に先に牽制を掛ければ、既に伸ばされていた手がピクリと止まった。油断も隙もあったものじゃない。部屋に常備しているインスタントのコーヒーを入れて渡すとキラはお礼を言ってカップに口をつけた。インスタントでも良い豆を使っているので香りが良い。
「ん〜さっきまで一緒にいたんだけどね。僕がちょっと席を外した隙にいなくなってて…こっちかなって思ったんだけど…これじゃ知らないよね」
　キラは苦笑する。席を外したのはほんの５分程度だという。
「カガリのところじゃないのか？」
「そのカガリもいないんだよね」
　カガリの今日の予定は自分と同じように一日オフだったか。しかし今まで溜めてしまっていた書類を整理したいと言っていたが、二人が来ているなら話は別だ。
「…まさか」
「アスラン？」
　部屋を飛び出し向かうのは、一番奥の日当たりの良い部屋。この屋敷の主人・カガリの部屋だ。
「代表！いらっしゃいますか？」
　ノックをしても声を掛けても反応なし。
「カガリ、開けるぞ！」
　鍵は掛かっておらず、入れば物抜けの殻で。
　彼女のベッドの上に散乱されている服の山、その中に朝食時に着ていたものも混じっていた。
「やられた…」
「え？」
　アスランはがっくり肩を落とした。



続く…。



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アスカガン合同誌・Ｃａｎｄｙ☆Ｒａｉｎみちやサイドの冒頭部分。基本のアスカガ・キララクでキララク最強（笑）