彼と彼の距離。



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　学校に戻って反省会をするとのモモカンの言葉に、選手たちは返事をする。
　確かにとても疲れてはいたけれど、手にした勝利にまだ身体の高揚感が押さえきれないのが分かる。
　援団を務めきった浜田もまた、同じように高揚しているが、疲れは疲れだ。１歳違うだけとは言え、やはり何もしていなかったブランクは大きかった。
「若年寄り〜」
「流石に今日は付き合う体力ねぇ…」
　いつもならじゃれるように泉にちょっかいを出すところだが、疲れはもちんろん流石に周りの目もあり控えたのだが、泉にはお気に召さなかったらしい。
「ちぇっ」
　ぷんと頬を膨らませ、泉はくるりと背を向けると走っていってしまった。
　梅原と梶山が二人のやりとりに苦笑をもらす。泉の存在はそれなりに知っていたとは言え、関係までは深く把握していなかった。知ってしまった今一番被害を被っているのはこの二人だろう。
「孝介！何やってるの」
　聞こえてきた声に目をやれば、少し離れた場所で泉は母親に頭を小突かれていた。
　選手をそれぞれ応援に来ていた母親同志で分担して学校へ送り届けることになったのだ。大型車の泉家の車はまさにうってつけだ。
「良くんお疲れ様。一緒に乗ってっちゃいなさいよ」
　名前を呼ばれて近寄れば、お誘いのお言葉が。
　バスで来たしこの雨だからと援団メンバーも便乗させてもらうことになった。

　一番後ろの席で泉は気持良さそうに目を細めている。浜田がマッサージして疲労した筋肉を揉み解しているのだ。素人はしてはならないが、浜田はそれなりに野球に精通し、またバイトでそこそこ身に付けたことからシガポから許可を得ているのだ。
　そんなこともあり、ほぼ泉専属と化している浜田は先ほどから手を一回も休めていない。
　真ん中列のシートから栄口が振り返って覗き込む。
　気持良さそうな顔をしている泉に苦笑をもらした。
　何よりも誰よりも、相手が浜田だからこその無防備な顔なのだろう事は、皆も分かってしまい、何故だか二人に話しかけるのは憚られる。
　しかし、気にしないのは子を見れば分かるその親で。
「どうせ終わったら良くん所行っちゃうんでしょ。最近家にも寄り付かないんだから」
　高校生になってから続く二人のやり取りに、もう泉家ではいまさらなのだ。
「すいません…」
　恵子の言葉はあたってるだけに浜田は反論さえできない。
　
｢｢親公認かよ…｣｣
　皆の声がはもったのは言うまでも無い。


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ハマイズは親公認だと思う。幼馴染だし（笑）
20070923