「これなんかどうかしら」
「こっちもかわいいんじゃないか？」
先ほどからとっかえひっかえ。まるでお人形のように。
次々と差し出される服に袖を通し、ああでもない、こうでもないと話し合っている２名を前に、クラピカはため息を零す。
経緯はこうだ。
死んでいると誰しもが思った幻影旅団が生きていると判明し、クラピカの復讐は再び開始された。
旅団の一人・ウヴォーギンを殺した『鎖使い』。
彼らもまた、『鎖使い』＝『クラピカ』を狙っている。
用心のために《変装》したほうがいい、ということになった。
否応ながらも、キルアと、手助けしてくれるというセンリツの二人係で借りてる宿屋の２部屋のうちの１部屋を占領して、着せ替え奮闘しているのだった。


「こっちの方がいいかもな…」
「そうね。動きやすいし」
やっと一段落ついた。
ほっとしたのもつかの間、引っ張られるようにもう一つの部屋へと連れ出された。
そこには立入禁止を言い渡されたレオリオとゴンがまっていた。
「わ〜クラピカかわいいっ！」
ゴンが嬉しそうにクラピカの周りをまわる。
《かわいい》という単語は、自分にとってはかなり不本意なのだが…。
だが、相手がゴンだと特に思わないし、むしろ素直に受け止められる。それは彼の人徳（？）だろうか
「………」
何か言ってきそうなレオリオに、クラピカは構えたが相手からは何も反応がない。
怪しく思って、相手の顔を見るために上を向けば…。
「今すぐ嫁にこい！」
バキっ！！
「何すんじゃっ！！」（キャラが違います…／笑）
「ぐうぉっ！」
場所をわきまえず暴言をはき、抱きついてきたレオリオに、クラピカは容赦ない鉄拳を与えた。
現在レオリオ２００ダメージ。
「お〜イテ。お姫様はご機嫌ななめってね」
「ん！？」
ギロっと睨まれてレオリオは竦んだ。
ため息一つつくと、レオリオは先ほどのエルボーで、思わず出た涙を拭くべく、メガネをとって、ハンカチを当てた。
長い指がもつ眼鏡に視線がゆく。
レオリオの愛用のそれは、初めて会った時からつけている。
彼のトレードマークであるそれ。
眼鏡をかけようとして、だがそれは叶わなかった。
手から眼鏡が消えていたのである。
「あっ…あれっ？」
落としてしまったのかと慌てて下を見たが何もない。まぁ、落ちた段階で音がするはず。
「よし」
声の方へみれば、可愛らしい顔にチョコンと眼鏡が。
なんとなくちぐはぐな感じが否めないが…。
本人は嬉しそうに納得しているので、まぁ良しとしよう。
「彼氏のものを身に付けたい気持ちはわかるさね〜うんうん」
キルアの発言には、流石のクラピカも顔を真っ赤にさせた。
「あ〜はいはい。１時間後に打ち合わせね」
口をきんぎょのようにパクパクさせるが、反論する暇与えずにキルアはそう言って部屋の鍵をレオリオに投げて渡した。
嬉しそうなレオリオに、無理やりひっぱられて部屋へ入っていった。
しかし扉が閉まる瞬間に見えたクラピカの表情は、まんざらでもないようだ。

「けっ、バカップル」
悪態を吐くキルアに、今までのやりとりをつまみにお茶していたセンリツはクスリと微笑むと、カップを置いて立ち上がった。
「センリツ？」
そのまま外へ向かうセンリツに、ゴンは不思議に思って声をかけた。
「私も用意があるから。少し出てるわ」

「私達も行かなければならないのだから、無理させないでね」
センリツは、ゴンにそう言うと外へ向かう。
「…」
ゴンとキルアは顔を見合わせる。そしてセンリツのセリフを思い出し、二人一気に顔を赤くさせた。
「お言葉に甘えちゃいますか（///）」
「あ…あぁ（///）」


意識を向けるとつい聞こえてしまう二組の《心音》
「恋人同士の語らいを盗み聞きするようなマネはしたくないし…、それほど野暮ではなくてよ」
センリツの方が一枚上手だったようだ。






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ただいまクラピカさん変装中（笑）かなりの方が《変装》とおっしゃっていて、《女装》と言わないあたりが涙を誘いますね（笑）ちなみに私は《変装》が希望でございます。今回はこのクラピカは男の子ですが…。
２週あけて今週号のお目見えでしたね、先生。でも来週休みなのでは…
レオクラにゴンキル風味でいきました。そうです、私はみちやさんとは逆のゴンキルなのです…。なにやらみちやさんのお友達がゴンキルに嵌ってるとか。嬉しい限りです（＾＾）これからもゴンキル！がんばりましょうねっ！！
そうです、忘れてはいけませんでした。宿は内扉でつながっている２部屋を借りていると思ってください！！

2001/3/19　緋絽晶子