遅く起きた朝には。








蒸し暑い夏が、やっと峠を越えた。


涼しくなってきて。


気持ちよく寝れるのは良いんだけど。


なんだかいつもよりも寒くて。



まどろみの中。


暖かいところを探す。


「んん…」


でも腕は冷たいシーツの上を泳ぐだけで。


いつも側にいるはずの、人がいない事に気付く。


「ヒ…ロ…？」


広いキングサイズのベッドには、自分だけしかいなくて、


シーツも毛布もぐちゃぐちゃになっている。


「ん〜」


コチコチと時間を知らせる壁時計が、１０：０５を示してる。


動かない思考回路でぼんやり考える。


でも答えは直ぐに見つかった。


いい匂いがドアの隙間から流れてきたからだ。


「あ…ホットケーキだ〜vv」


美味しそうなバターの、そしてコーヒーの匂いもしてきた。


起きようと思って。でもふと思い直す。


ヒイロに起こしてもらうのも良いかもしんない。


再び意識が沈んでゆく。


ヒイロが来るでの間、しばしの幸せに浸る。


そんな朝も、いいよね。