煌く明日に向かって






「なぁアンディ…」
　デスクの上には封筒が１枚。すでに開封されて手紙はガロードの手にある。目で追った内容は予想違わずだった。
　現れたホログラムに目を向けずに話しかける。
『何？』
　彼女は昔からユイ家に使えるプログラム。電子の世界を駆け抜ける最強の騎士（ナイト）であり鉄壁を誇る守護者（ガーディアン）。
　それでも昔は人であったのだと話してくれたのはだいぶ昔のこと。
　世界は再び混沌と化した。人は何度同じ事を繰り返すのだろうか。
　そんな中で再び始動した宇宙防衛特殊部隊プリベンター。国家直属の防衛機関。ガロードもその実力の元話がきたのだのだ。
「父さんと母さんがガンダムパイロットだったのは知ってるけどさ」
『うん』
「プリベンターになった理由…知ってるか？」
　気ままなジャンク屋生活はガロードにとって十分で。でも何か物足りないことは気づいていた。
　血のなせる業か…
　大戦前に命を奪われた両親と妹。それでもやってこれたのはティファが居てくれたからだ。
『ホント、そっくり』
「…」
『ヒイロにも、デュオにも』
　悲しそうな顔をしたアンディの顔を見ていたくなくてガロードは首に掛けていたロザリオを手にした。
　戦争のために兵器として育てられたＡＣ時代を担ったガンダムパイロット達…その内の二人の子供であるガロード。
　戦争で培われた能力は子々孫々流れていくのだろうか。
「守りたかったのよ」
　決して反らされることの無い瞳は、自分と同じエメラルドグリーン。それはこの人の血も流れているのだと。
「世界を…あなたを…」
　たくさんの命を奪ってきた為に宿った命に恐怖を覚えたデュオ。からっぽの心で子供を育てることなどできるはずがないと苦悩したヒイロ。
　でも二人は立派に人の子の親だと、全てを見てきた彼女だからこそ、胸を張って言える。

『人間は不器用だわ』
　データとして感情を処理する彼女には不可解な事だけれど、基盤となるパーソナルが訴えている。
『貴方には守るべき人がいることを忘れてはいけない』

　階下から聞こえるリズムを刻む包丁の音。スープの香りが少しだけ空いた扉の隙間からここまで届く。
「ガロード〜ご飯〜」
「今行く！」
　ふと気付けばアンディの姿が消えていた。
　姉のようであり、母のような存在はとても気まぐれで。でも迷っているときは必ず光を指し示してくれる優しい存在。

　ガロードは手紙を引き出しにしまうとティファが待つ階下へ向かうため、そっと扉を閉めた。

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…ガンダムＷ…と言うかＧＸ。って言うかWISH番外でっす。本編出す前にやっちまいました。バックトゥザフューチャーも完成させたいですが…どうしよっかな。やっぱりガロードはティファとくっついて欲しい。
20070609