葛篭
中央から東方経由で隣国へ輸送中に落ちてしまったつづらをエドがゲット。面白そうだと指令室へ持ち込んでしまったのが始まり始まり…(笑
------みちや
移動をエドワードとホークアイ中尉で行ったのが運のツキだった。
階段を踏み外し、二人して下まで落ちてしまったのだ。幸いエドワードも、もちろん・中尉も酷い怪我はなかった。
ただ、持ち込んだ葛籠の蓋が開いてしまっただけで…。
異変は翌日、誰にでも見える形で表れた。
------阿子
ぎゃ～！！なんじゃこりゃ！」
目覚めてびっくり。何かおかしいよとの弟の言葉に、思わず触れた胸が膨らんでいた。まさかなと思いつつズボンを覗いてみたら！
「どうした鋼の！」
非番だったロイさん。愛する人の悲鳴にあわてて駆け込むが。
「ぎゃ～！てめぇは来るな！近寄んじゃねぇ！」
あまりの台詞にロイは床に沈んで涙を流した。
その頃のリザさん。
「あら…これは…」
内心激しく驚いてるが表情に出てない。
「フォルテを呼ばなければ、ね…」
大きなため息。ブラハがワンと応えるように鳴いた。
------みちや ということです(笑)
「あの、大佐お取り込み中済みません（汗）」
部屋の中ではまだエドワードの奇声と、破壊音が続いている。そして中には入れてもらえないロイは、扉の前で説得の最中だった。
「あの…多分ホークアイ中尉から電話が」
「多分…？」
「いや、声はホークアイ中尉ですしそう名乗られたし…でも」
いつに無く要領を得ないアルフォンスの言葉に、ロイは首を傾げながら扉の前から離れた。
「――どうかしたかね？」
『お呼びだてして申し訳ありません大佐』
ロイは受話器を耳から離した。アルフォンスの言葉は確に正しかった。
「…ホークアイ中尉か？」
常日頃側にいるロイですら聴いたことのない、低い声。
『お疑いごもっともです。ですが是としか…事情がありまして』
「どうかしたのか？」
『実は…エドワード君の事で…』
ホークアイを名乗る男性の声の人物は、最後に今から迎えに行く旨を伝えた。
------阿子 うがー、フォルテさんまでまだ遠いなぁ(T_T)
「ぬわんだって～！！」
ロストテクノロジーを極秘輸送していた班から連絡が。例の物を落としたと。
「ばっかやろ！あんたら何やってたんだ！…分かった。私が行くまで待機！！いいな！？」
ガチャンと勢いよく受話器が下ろされる。
「何かあったんですか～？フォルテさん」
斜め前に座る同僚が声をかける。
「バカ共が例の葛籠を輸送中に落としたらしい…」
「それって…」
思い出したくもない記憶が二人によぎる。
「まっマジですか～…？(汗)」
「フォルテさ～ん！二番に外線です～」
「はいよ～ったく次から次ぎへと…はい、シュトーレン…リザ！！珍しいねぇあんたから電話なんて…えっはあぁっ！！？」
嵐の幕開けであった。
------みちや
「ちょっと東方指令部に行ってくる！誰か列車の切符とっておくれっ」
電話が終わった瞬間、フォルテは先程とは違う場所を告げた。
「ちょっとお待ちくださいフォルテさん！何ですの突然？」
フォルテが名前を漏らしたことで、相手が誰かは判った。しかし、自分の任務を放り出してまで駆け付ける事など無いだろう。
「あの連中はそのまま待たせときな！いい薬だ！」
「でも、何で東部なんです～？」
「一分一秒を争うんだ！こんな機会見逃したら一生後悔するよ！」
「…まさか、アレが東部にありますの？」
フォルテは否定しなかった。つまり肯定だ。
「全員指示するまでこの場で待機！良いね？！」
「えー、ずるいフォルテさん。私も連れてって下さいよー」
「アンタの目的は東方一の色男だろう？豆姫が警戒するから連れていけないよ！」
そう叫んで、フォルテは飛び出して行った。
------阿子
「豆姫って…どういうことですかフォルテさん！マスタング大佐って彼女いないって…！！」
「諦めなさいな。あんな色男に彼女がいないはずないでしょう。ほら、仕事はまだ終わってないんですから、お行きなさいな」
「行きますよランファさ～ん」
「ふえ～ん(泣)」
以上中央天使隊指令室からお送りしました！！
------みちや 豆姫愛称バレバレですよ～(爆笑)
ホークイアイ中尉がマスタング邸の扉をくぐった時、話に聞いていたのにロイもアルフォンスも絶句した。
「……ホークアイ中尉？」
身長がまず伸びていた。ロイと目線が合う程だから、劇的ではないが(笑)。そして、髪も何時ものようにあげるわけにもいかなかったようで、一つにくくるのみ。この緊急時にすら落ち着いてみせるホークアイは、凛とした印象さえ与えた。
つまりぶっちゃけ容姿淡麗な青年将校が、そこにいたのだ。
「事情は先程お電話で伝えた通りです」
エドワードの持ち込んだ正体不明の葛籠のせいだろうと、ホークアイ中尉は繰り返した。
「軍部に寄る事が出来ない為確認が取れませんが、葛籠に施された封印に天使紋章がありました」
「…」
「ロストテクノロジーの可能性が有りましたので、中央のフォルテ・シュトーレン中尉に連絡を取りました」
「…」
「私がこうなってしまった以上、エドワード君にも何か異変があったのではないですか？」
…アルフォンスが控え目に手を挙げた。
「…あの～（汗）」
「…本当に君はホークアイ中尉か…？」
「（怒）」
こいつら。
ホークアイは、その時とっさに発砲しなかった自分を誉めてやりたいほどだった。
------阿子 パラレルでの豆姫ネーミングはフォルテさんだ(笑)うーんと、ホークアイさんが大佐の家に行ったときにフォルテさんがいたら、流石に移動が早すぎるよね…(T_T)昨日、ついGA前半見てしまったわ…（笑）やっぱり本家本元はオカシかった（泣笑）ちくわで人工呼吸なんて考えつかんて…(-"-;)
「エドワード君？」
控えめなノックに続く声は聞いたことあるような無いような…なのでとっさの判断がついて行かなかったのだった。
入ってきたのは…
「ホークアイ中尉…？」
「エドワード君…？」
見つめあったまま固まった二人。端から見れば不思議な出来事が現実に起こっていることに、アルとロイは頭を抱えた。
その頃のフォルテさん。
「何～！？汽車が動かないだと！？ばっかやろ、早く復旧させろ！こっちは急いでるんだ！」
「申し訳ありません…ですが…」
まだ中央を発てずにいた。
前途多難。
------みちや
しかし、初めてマトモにロイはエドワードを見れた訳だが。可愛いと、口に出さずにいるのが精一杯だった。
寝起きのせいか、暴れたせいか、何時も結っていた髪はほどけてしまっていた。まるでその華奢な肩を隠そうとしているかのように、ふんわりとかかっている。顔立ちにはあまり変化は無いようだが、混乱のために目が潤んでいるのがまた可愛い。全体的に丸みをおび、どこからどう見ても愛らしい少女以外の何者でもなかった。
「…という訳なの」
「チクショ、あんな葛籠拾ってくるんじゃなかった…！」
「今、専門家に連絡を取ったから、もう暫く我慢してねエドワード君」
原因らしき事が解った為か、しかめていた表情がやっとゆるむ。
「…ねえ、ホークアイ中尉？ところで中央の専門家って…」
「勿論、フォルテよ」
それがどうかした？と微笑む少尉は本当最強だった(笑)
------阿子
電話が鳴る。
「はい、…分かった。シュトーレン中尉は明日着になる。とりあえず中尉は自宅待機。鋼のも今日は部屋から出ないように」
フォルテが来たときむしろここにいた方がいいとも思うのだが。
「…畏まりました」
大佐の精神衛生上よくないことは分かるので、素直に指示に従った。
「送っていこう」
「いえ、…ありがとうございます」
「アルフォンス君、鋼のを頼む」
「はい、行ってらっしゃい」
ロイは不安そうに見あげてくるエドに視線をはずした。
「なるべく早く戻ってくる。今日は静かにして待ってなさい」
「大佐。エドワード君よろしいのですか？」
「今の君なら分からなくもないだろう？」
情けない顔のロイ。苦笑するリザ。
「帰られたらフォローはしてくださいね。」
「出来たらば、な」
可憐なエドワードに直視出来なかった。あの縋るような不安で揺れる大きな瞳で見つめていたら自制が外れてしまいそうで。もともとここ暫く仕事が忙しく触れ合ってさえいなかったのだから。
熱くなる体を押さえるためロイはリザに気づかれないように深呼吸した。
その頃のエド
「うっううっ」
「兄さん！？」
「大佐一度も目合わせてくれなかった…」
「俺のこと嫌いになっちゃったのかなぁ…」
毛布を被って閉じこもってしまったエド。
「そんなはずないでしょう…」
大佐の気持ちの方が分かったアルはため息をついた。
------みちや
「とりあえず中尉は自宅待機。鋼のも今日は部屋から出ないように」
「大佐。エドワード君よろしいのですか？」
「今の君なら分からなくもないだろう？」
「そうですね、エドワード君があんなにかわいいとは知りませんでした。さらって帰りたくなりますね」
大佐は思った。今の中尉はヤバい！見た目よく有能な青年将校(笑)と可憐な乙女(笑)の組合せは危険だ！二人きりにさせてはいけない！
------ゆ儀 葛篭ツッコミ
「何やってんの姉さん…？」
「誰が姉さんだ（怒）」
「今は姉さんでしょ（汗）」
そのとおり。エドワードは口をつぐんだ。大佐が出ていって暫く大混乱を起こしていたエドワードは、今何時もの旅支度をして居間に現れた。
サイズの大きくなっている服を無理矢理着て、えぐえぐ泣きながら飛び出された日にゃ。大佐の進退問題は勿論、自分達兄弟も二度とこの土地に来られなくなってしまう。
「…大佐が家から出るなって言ってたでしょ？ボクも同じ意見だよ」
「…だって」
「ナニさ？」
「見苦しいから、みっともないからだろ？」
目を反らされた。もうそればかりエドワーのド頭の中に渦巻いているのだ。禁忌を侵し、手足が無くなった時ですら真っ直ぐエドワードを見たロイなのに。
アルフォンスは、エドワードにも分かるように大きく溜め息を吐いた。
「前から知ってたけど、姉さんって天才だけど馬鹿だよね」
「Σ(￣○￣;)」
エドワードの性別のせいでロイが嫌いに…なるわけあるかい。男心の何たるかを、何故に弟であるアルフォンスが元兄に語らねばならないのか？
アルフォンスは、こうなったら元凶である彼に責任とってもらおうと決意した。もうロイを義兄と呼んでも良い！
「あのね、大佐が目を反らしたのにはちゃんと理由があるの」
「理由…？みっともないからじゃ無くてか？」
「そう！だから姉さんは大佐にちゃんと聞く権利がある！」
「…又逃げるかも」
「そんな弱気で姉さんらしくない！絶対吐かせてやる！位じゃないと駄目だよ！」
「ワカッタ…真っ正面からぶつかってみる！！」
------阿子
「ただいま」
大佐帰宅。上着を脱ぎ襟元を緩める。
「お帰りなさい」
「鋼のは？」
「居間に…あの大佐。僕はどちらかと言えば大佐の気持ちの方が分かりますから」
「アルフォンス？」
「兄…いえ、姉をよろしくお願いします！お義兄さん！！」
「はぁ？君は何言って…？」
「一人では大変でしょうからホークアイ中尉の所にいってますね」
「おい、アルフォンス？」
訳分からないまま居間にはいるとテーブルには出来立てのシチューが。
「あ、お帰り」
「あぁ今帰っ…」
思わず止まる。
エドの姿は男のロマン！フリルのエプロン（以前冗談でエドに買ってきた代物）下はいつものタンクトップだがサイズか大きくなってしまったために肩にずれ下がっている。小さいが膨らんだ胸が形をはっきり浮き上がらせている。
「大佐？」
サラダを運び、きょとんと首を傾げる姿に頭に血が上る。ロイは思わず目をそらす。（当たり前だ）
暗い顔をするエド。
「やっぱ気持ち悪いよな、こんな姿…」
男が女になるなんて異常だ。嫌われてもしかたない。
「部屋に戻るから、でもせっかく作ったから食べてくれると嬉しい」
儚い笑みを浮かべ居間をでようとするエド。
「エド！」
激しく勘違いしているエドをとっさに引き寄せる。
「何を勘違いしているか分からないが…直視出来ないのは自分を押さえることが出来ないからだ」
「大佐…？」
「鏡で自分の姿は見なかったかい？今の君は私の理想とするとびっきりの女性だ。男を誘う、ね」
首筋まで真っ赤になるエド。鎖骨にキスするロイ。
「あっ…たっ大佐！」
「煽った君が悪いよ」
「そんなつもりはっ…」
瞳の奥に宿る焔をみてエドの心拍数が一気に上がる。目が反らせない…
が瞬間ロイは目を閉じて笑みを浮かべる。
「せっかく作ってくれた食事が冷めてしまうな。鋼のはもう食べたのかい？」
呪縛が解けたかのように頭をぶんぶん振る。
「では一緒に食べよう。一人で食べるのは味気ない」
「用意する！」
パタパタと走り出した後ろ姿に大佐は口元に手を上げてにんまり微笑んだ。
シチューをよそうエド。
大佐がふれた場所が熱い。唇が触れた鎖骨へ指を滑らす。どこかで期待する自分がいることに、気づいていた。
------みちや アルが変だ…(汗)ロステクの影響で思考も女の子化(爆笑)は～いパス！
くるくると働くエドワードをロイも手伝い、いざ席につくと一人足りない。
「？…あのさ、大佐、アルは…？」
「知らなかったのかい？一人で大変だからホークアイ中尉の所へ行くと出て行ったが…」
ロイは何の事か訪ねるが、大混乱中だったエドワードにわかる筈もない。
「し、知らない！」
エドワードはぶんぶんと首を振った。
「そうか…それではアルフォンス君には悪いが、先に頂いてしまおうか」
にっこりと大佐は笑った。
飛び出してから気付いたが、アルフォンスはホークアイの自宅を知らなかった。軍部に行けば顔見知りの彼等が教えてくれるのは分かっていたが、逆に何故かを問われればアルフォンスが答えられない。
結局駅に程近い広場の階段に座り込み、街の明かりと人の流れを眺めていた。勿論このまま夜を明かすつもりは無かったが、今は少し落ち着きたかったのだと結論つけた。
「…疲れた」
はふ～、と溜め息が溢れる。
「せめてボクが一人で葛籠を運べばこんな事には…」
「もう起きてしまった事だから、君が悔やむ事は無いのよ、アルフォンス君」
声に驚いて、振り向けば何段か上に美青年がいた(笑)
「ほ、ホークアイ中尉…？！」
「こんばんは。偶然ね」
私服のホークアイは身軽にアルフォンスの隣まで降りてくると、同じように腰かけた。
「どどどどうしたんですか？！大佐がご自宅に送って行ったんじゃ？？」
「大佐が混乱していた証拠ね。…私は女子寮暮らしなの」
今や立派な青年となってしまったホークアイが戻れる筈もない。ロイは女子寮の前まで送って行き、ホークアイは中に入ることなく街で宿をとったのだ。
「今は買い物にきたのよ」
「そうでしたか」
「それに、駅で列車の運行状態を聞きたくて。もし列車が動いたなら、フォルテはのっとってでも来る人だから」
ホークアイはくすくすと笑うだけで、アルフォンスに何故此処に居るかを聞かなかった。
「アルフォンス君はもう少し此処にいる？私の暇潰しに付き合って貰えないかしら？」
「…中尉さえよろしければ喜んで」
------阿子
「どお？美味い？」
「あぁ。いつも通り美味しいよ」
考えながら作っていたため味見をしなかったので。
「良かった～」
会話は弾んだ。エドが普段以上に話しているせいもある。
時折会話が途切れて見つめあうとエドの方が視線を外してしまう。
「ごちそうさま」
後はやるからとフロを勧めるエド。
ロイを見やって食器を洗い出す。
今までだって身体を重ねてきた。だがこの身体になってからは初めてなのだ。震えが走る。
「エド？」
いつの間にか背後に立っていて、抱き込まれた。一気に緊張して堅くなる。
ロイの手がエドの小さな胸に添えられた瞬間心音が跳ね上がった。
「鼓動が早い。そんなに堅くなる必要はないよ」
耳元で囁かれて首筋まで真っ赤になる。膝が砕けて倒れる瞬間抱き上げられた。
「さぁ、これからは大人の時間だ」
漆黒の瞳の奥に灯る焔に目がそらせない。エドは小さくうなづくとロイの首筋に顔を埋めた。
その頃のアルとリザ。夜風に当たりながら散歩する。
「へぇそうなんだ」
今までの旅での出来事を話していたのだが。
「中尉？なんか話し方変わってませんか…？」
身だけでない、心も変わってきてる？
ふと兄を思い出す。口調は変わっていなかったし動転していたせいで気づかなかったが、明らかに行動はおかしかった。
「僕ってばなんて事…兄さん！！」
「アルフォンス君！？まさか…っ！」
駅前を通り過ぎたとき声をかけられた。
「アルフォンス？…リザ！？」
「フォルテ！」
「フォルテさん！着くの明日だって…」
「親友の危機なんだ、見過ごせるはず無いだろう？」
ジャックしてきたとこともなげに言ったフォルテ。
リザが緊張が解れたのか涙を流す。彼女もまた不安だったのだ。
「大丈夫、絶対元に戻してやるから…」
ぽんぽんと背中をたたく。端から見たら美男美女のラブシーンだ。
「んでもう一人は？」
このロステクの発動条件は最低でも二人、しかも異性同士から発動する。。
「そうだった、兄さん！」
「まさか…行くぞリザ！」
「あぁ」
話方がかなりまずい。身体が完全に同化したら元に戻れなくなる。
「エドワードは！？」
「大佐の家です！」
「急ごう！」
------みちや は～い次パス。いや～昨日完成間近でボタン間違えてデータ消しちゃったい。泣いたさ～
人々の視線をやり過ごしながら、3人は街中を走り抜けた。特にフォルテなど長旅をしてきたばかりなのに、ハイヒールの足元に危なげな気配すら無い。
「アル、豆姫の様子どうだった？！」
「うわーん、兄さーんっ」
「フォルテ…今は何を言っても無駄だろう…」
「リザ！アンタ無理矢理でも女言葉使えって！」
「…厄介な…」
漸く高台のマスタング邸に着いたとき、アルフォンスはその場にへたりこんでしまった。
「あ…灯りが…」
そう表から見る限り、邸内の灯りは一つとなく消えていたのだ。
「就寝したんですよね？！」
「アルフォンス君…気の毒だがまだ宵の口だ…」
「リザ！口調！」
「…宵の口ですわ？」
「ち、中尉…僕腰が…」
「たのもーっ！私は中央エンジェル隊のフォルテ・シュトーレン中尉だ！ロイ・マスタング大佐にお目通り願う！」
フォルテは扉なんざ壊れてしまえとばかりに、ぶっ叩いた。
------阿子 どうしてこの展開で又来るんだろう…(T_T)にしても美男美女カプの(笑)ホークアイさんとフォルテさん…フォルテさんが♀のハズだけど、慰めに違和感無いよ！流石女の中の男だ(笑)ふふふふ…(脱兎)
「エディ…」
初めてのキツい感覚についていけなかったのだろう、エドはあっさりと気を失ってしまった。ロイの身体は煽られたまま。しかしこのまま気を失ったエドに手に掛ける訳にもいかず、仕方なしにロイはベッドから降りた。クローゼットからパジャマを出して上だけ着せる。ボタンをかけようとして手を止めた。
「これだけならいいよな」
エドの心臓の上、左胸に唇を寄せる。先ほどまでの心拍数が嘘のように治まっていた。舌を這わすとピクリと動くが起きる気配はない。強く吸い上げると赤く充血痕が残った。
「さて、身体を冷やしてくるか」
エドに着せたパジャマの下を持つとロイはバスルームに向かった。
破壊音がして、エドは跳び起きた。
「え、何！？」
いつの間に寝てしまったのだろう。記憶をたぐる。確か大佐に抱えられてベッドに来て…それで…ボン！と赤くなる。ロイに翻弄された所までは覚えてる…けど。
「どこも痛くない…？」
繋がった後に感じる倦怠感と痛みが無い。首を傾げる。
「あれ、ロイ…？」
着せてくれた服は見覚えあるロイのパジャマ。包まれているようで少しだけ安心した。胸に見える赤い跡はロイがつけたのだろう。無性にロイに会いたくなった。先ほどの音も気になる。エドは意を決して部屋を出た。
「これはフォルテ嬢、お早いお着きで」
バスルームから出てきたロイ。髪から滴る水もそのままにタオルを首にかけ、パジャマは下しかはいていない。
固まる３人。
「ロイ…？何かあったのか？」
２階から降りてきたエドの姿は上はブカブカで襟刳りが大きく開いてしまっているパジャマ、下は素足。いつもならはいているボクサーパンツが見えない所をみると何もはいてないのだろう。
「遅かったか…」
「あっちゃ～」
バターン！とアルが倒れた。
「アル！！アル！？」
------みちや ヤってませ～ん♪ヘタレ大佐(爆笑)誤解は解けるのか！？二人は元の身体に戻れるのか！？
「…」
「…」
「…」
「アル？おい目ぇ醒ましてくれよ…」
エントランスで卒倒してしまったアルフォンスを動かすことが出来ず、その場に大人組も残っていた。
役者が全員そろった直後。
上司を射殺しそうになったホークアイをまずフォルテが止め、ロイは笑顔のまま微動だにせず、流石のエドワードもあまりの瞬時の出来事に動けなかった。
「ななな？！どうしたんだ？！扉が無くなってっ？何で？アル？！」
「兄…さ…(T_T)」
「やあ、中尉まで」
「フォルテ、手を離してくれ」
「…あーっもう！てめ、このロイ・マスタング！さっさと何か来てこい！あとエドワードに服着せろ！」
やけっぱちなフォルテの絶叫が、郊外の住宅地に響いた。
アルフォンスの手を取り、ちゃんと服を着たエドワードが呼び掛けるが反応がない。
大人組が移動出来ずにいる理由がここにあった。
ロイは当然の事のように、エドワードから離れない。
静かに怒れるリザは銃を取りあげてられてはいるが、ロイから目を離さない。
そしてフォルテが彼女の手を押さえていなければ、ロイに殴りかかる事くらいはするだろう。
「フォルテさん～っ」
「…そのまま呼び掛けてな…」
「エディ、何故私ではなくシュトーレン中尉に助けを求めるのかね？」
「…大佐、フォルテに失礼な事を言わないで下さい」
フォルテは、心底うんざりした。
------阿子 誤解解くトコまで行かなかった…(i▽i)
「んんっ…兄さん…？」
「アル！！」
兄の姿を確認してアルはゆっくり身体を起こした。どうして気を失ってしまったのか思いだそうとして、兄の姿に違和感を感じる。
「兄さん…そ…れ？」
「あ、これ？ロイが買ってきてくれたんだ」
両肩が紐でリボン結びされている段付きフリルのスモック型のシャツ？に下は紺の膝丈ジーンズ（服の説明難しい～！）を着てるエドは見間違うことなく女の子で。ちょっと頬を染めて嬉しそうに語る兄にアルはまた卒倒しそうになったが何とか耐えた。ここで倒れても問題解決にはならないので。
「アルフォンスが起きたところで…色男、広い部屋は無いかい？」
フォルテが痛む頭に当てて問えば。
「退かせば居間が一番広いが…まぁ２階の書斎も広くとってあるが？」
「よし…リザもいい加減銃しまいな」
フォルテに窘められて。
「仕方ないな。フォルテには嫌われたくないからね」
リザは銃を収めた。フォルテの額にキスをして。
「…！？何するリザ！！」
身の毛のよだつとはこのことか？ズザッと後づさるフォルテ。
「フォルテは照れ屋さんだな」
笑みを浮かべるリザはとてつもなく好青年に見えるのだか…。
二人のキスシーンを見たエドが羨ましそうに見つめる瞳に気づいたロイ。
「エディ」
顔を上げたエドにロイは額に口づけた。
「vv」
嬉しそうに頬を染めてロイにくっつく兄に鎧の色が真っ青に変わるくらいショックを受けるアル。
一刻も早く元に戻さねば！と二人は思った…。
------みちや は～いリザフォル(笑)砂吐きロイエド付き(爆笑)。
適度に一人一人が距離を置けるということで、場所は書斎へと移された。
兄弟達は一度その部屋に入ったことがある。あの嵐の晩の事だ。
フォルテや勿論ホークアイもそこへ降りたのは初めての事だったが、しかし薄暗い部屋やうず高く積まれた書物に驚くことは無かった。
ホークアイは、かつて何かの折りに地下の惨状をロイ本人から聞いていたし、フォルテは専門がロストテクノロジーということで、錬金術師の部屋には慣れていたのだ。
どういう経由でエドワードの手に渡ったか、簡単に説明する。本来なら隠すべき軍部内の失態だが、フォルテが余りにもはっきり話すのでエドワードは首を傾げた。
「…フォルテさん、そういうの話しちゃって良いの？」
「アレもコレもソレも、責任とるのアタシじゃないもん」
ロイとホークアイの脳裏に、気の毒なあの昼行灯の中佐の顔が浮かんだ。
「さて、それよりこれからの事だよ」
早く、一刻も早く二人を元に戻さなきゃな！
何故か身の危険を感じながら力強く言うフォルテに、アルフォンスも大きく頷いた。
「そうですよ！ねえ、兄さん！！」
「え？ああ」
とたん、エドワードは目を泳がせた。
「………兄・さ・ん！」
「…変だ変だと思っていたんだが、よーやく判った。リザもエドワードも積極的に戻るつもり無いだろ？」
フォルテに呆れて指摘され、アルフォンスは青くなった。
「本当なの！？兄さん、それに中尉！！」
二人の反応は青くなったアルフォンスと真逆で、エドワードなど露骨に頬を染めた。
「だって、誰も迷惑じゃないし…」
「性別が変わった所で、大佐のお守りは変わらないし」
フォルテとアルフォンスは、二人の適応の早さに脱力した。
------阿子 遅くなったですーっ！暑くて…(責任転嫁)豆が乙女なのも暑さのせいよーっ(笑)
「だから…」
二人はばっと立ち上がり、部屋から飛び出した。
「逃げた！？」
「あいつら～！」
慌ててアルとフォルテも後を追う。
一人残されたロイは背中を丸めて笑い転げていた。
「何処に逃げやがった！？」
「ここはホークアイ中尉のお膝元です（決してロイではない(笑)）。隠れられたらそう簡単には…」
「だからって手をこまねいてる隙は無い」
「もし、元に戻れなくなったら…」
アルは大佐と所かまわずくっつく兄の姿を思い浮かべる。さ～と青くなる。
フォルテはアップで迫られるリザを思い浮かべる。一瞬赤くなるが、やはり次の瞬間青くなった。
「よし、二手に分かれよう」
そう言って噴水広場に出た瞬間。
「フォルテさん…」
「何だ！？」
「いました…」
アルの指先を辿れば、リザは女性軍に、エドは男性軍にナンパされて囲まれていた。
フォルテは頭から盛大にズッコケた(笑)
------みちや はいギャグ～東京キャラショーでギャラクシーステージがあるらしい。山口さん来ないかなぁ
「手間掛させやがって…」
フォルテは颯爽と人の波に飛込むと、恨みがましい眼差しの男共を蹴散らし、まずエドワードを救出。次いでホークアイを、目の色変えて付きまとう女性からひっぺがした。
途端に沸き起こったやかましい騒音と、自分達に着いてきそうな気配にフォルテは銃声で黙らせた。空へと向けられた銃は、ソレだけでも一般市民を正気付かせるには十分な存在感だ。
「この子たちを相手にするにゃ、あんた達じゃ役不足だ。…おとといきな」
後日、エルリック兄弟はその時の啖呵を切るフォルテの雄志を、中央のヒューズやアームストロングに嬉嬉として語るのだった。
アルフォンスが荷物のように左右に抱えてしまえば、ホークアイですら足が着かない。その侭とりあえず人気の無い方へ逃げて、気付くと随分外れの寂しい場所に来ていた。
其処でようやっとアルフォンスは二人を道に下ろし、全員でロイの邸まで歩き出した。
「わかったかい？あんた達、その姿な限り、街中はゆっくり歩けないと思いな」
この葛籠のロステクには性別入れ替えの他に、魅了もアップする効果があるのだと、フォルテは言う。
「前回はそりゃあ大変だった。何せ皆が皆、被験者にプロポーズだ」
挙げ句、奪い合いの争いにまで発展したのだ。
そう言われてしまえばホークアイとエドワードに言葉は無い。
「体に心が引きずられ無いようにしろ。戻りたくない何て言うなよ？」
その姿も申し分無いが、アタシはやっぱり元のアンタ等が好きだから。フォルテは、にぱっと笑った。
------阿子 今晩は涼しいね～♪
とぼとぼと屋敷に戻ってきた４名。
「お帰り」
玄関で出迎えてくれたロイにエドは黙って抱きついた。
「エディ？」
優しく撫でてくれるロイの手が嬉しくて。それはいつもの時と変わらなくて安心した。
男の子の時なら奇異な目で見られても、女の子の時ならそんなことなくて。
人目はばからずロイと一緒にいたかっただけ。ちょっとしたわがままだった。
「うん戻ろう」
「リザもいいな？」
フォルテの先ほどの言葉でリザの決心も固まっている。
「どうやって戻すんですか？」
「簡単だよ。開けた本人たちがもう一度葛篭を開けて力を戻すんだ。ところで葛篭は？」
「執務室」
「は？」
「だから軍の執務室に置いてあるが…」
「置きっぱにしてきたのかい！？」
「仕方なかろう。そんな危険物だとは思わなかったのだからな」
「偉ぶるな無能」
ぐさぁ
クリティカルヒット！！
「ロイしっかりぃ！」
「仕方ねぇ。また何が起こるかわからないし被害も拡大させたくない。もう少し遅くなってから皆で行こう…」
------みちや 眠いです。でも久しぶりによく寝れたや(笑)
とりあえずというべきか。一堂やれやれ…という空気が流れ、思い思い居間のソファに寛ぎだした。勿論豆姫と色男は、無意識でもくっついていたか。
その中でフォルテが、一度はやはりソファに落ち着いたものの、直ぐに立ち上がった。
「あのさ、何か食い物ないかな？」
思えば列車をジャックしたり、東部に着いたら走り回るわ乱闘騒だわで食事を採っていなかったのだ。人一倍食べて人の三倍は動くフォルテには、もうそろそろ限界だった。
「無きゃ無いで勝手に作るけど」
「君がか？！」
「オレが作ったシチューがまだ残ってるけど…」
「食べちゃって良いかい？…色男…後でちゃんと話つけような﨏」
「じゃあ…」
「僕が案内します！」
他の誰より早く立ち上がり挙手までして立候補したのは、アルフォンスだった。
「…これシチューか？」
「兄さん作ですから…出来れば食べられない方が…」
「いや、もう何か食わないと倒れる」
フォルテはさっさと火を通し、鍋から直接食べ始めてしまう。
「！…何だコレ？」
「だから止めたのに…」
「ちゃんと止めろよ」
「今からでも止めた方が良いですよ」
「いや、食う。最近こういう訓練してないからね」
訓練かよ…。アルフォンスは心の中でホロリと泣いた。そして何か間違った決意のもと、フォルテがそのシチューを頬張るのを黙って眺めていた。
「で、どうしたんだい」
「えっ…？」
「何かアタシに話が有るんだろ？」
先程キッチンの場所の分からぬフォルテの案内役を、わざわざアルフォンスがかって出た訳。
「リザが何だか物凄く睨んでたけど、譲らなかったし」
アルフォンスは確かに、フォルテを引っ張るように連れ出してきてしまった。周りに気を配ることも忘れていた位だが、フォルテの言っていることは正しいのだろう。
アルフォンスは中々話出さなかった。だがソレを急かす事無くフォルテは、食事をしながら待った。
「……あの、フォルテさん…！」
「…何だい？」
言うか言うまいか悩むアルフォンスを、フォルテは可愛いなぁ…vと眺めていたので反応が遅れた。
「…兄さんの…事なんですケド…」
「うんうん」
「本当に、戻るんでしょうか？！」
アルフォンスのこの質問はある程度予想していたので、フォルテの返事も淀みない。
「戻るって」
「でも、でも！」
「ん？」
「さっき…戻ってきた時…！兄さん…たた大佐とっ…！(>_<)」
フォルテの手からさじが落ち、鍋の底で音をたてた。
「だってだって、心と身体が完全に同化しちゃったら駄目なんですよね！！」
「………あーっと。アルフォンス？」
「はいっっ」
すがる様な眼差しで期待されてしまい、フォルテは苦笑するしかない。
------阿子 私もみちやさんにすがる様な眼差しで！！(笑)鎧が可愛い風になったのは声に引きずられたかな(笑)
「多分…それは大丈夫だろ」
もし本当にやってたらあんなに動き回ることはできない…はず。本人も戻る意志があるようだし…。
だけど…
「フォルテさん！？」
まずい飯を綺麗に平らげ皿を洗浄して水を１杯飲む。
「時間だ、行くぞ」
「フォルテさん！」
「戻るって言った兄ちゃんの言葉、信じてやりな」
そう言われてしまったらアルには肯くしかない。
「わかりました…」
本人には手前強気に出たが、実際には不安ではあった。本当に身を繋げていたら…
リザを先頭にアル、ロイと腕に捕まってるエド、その後ろにフォルテが歩く。
深夜な為靴音がやけ響く。
ふとアルが走り出し数メートル先の電柱前でしゃがみこむ。ピンときたエドも後を追い走り出した。予想通りアルの腕の中には子猫３匹。
問答始めた二人にリザも走りよる。
その隙にフォルテはロイの腕を掴み路地へと引っ張り頭部に銃口を突きつけた。
「何のつもりかね、シュトーレン中尉」
ロイに焦っている様子なし。
「確認をとらなきゃいけないことがあってね」
「確認？」
「私たちがあんたの家に着いた時さ」
シャワーから出てきたパジャマの下だけ履いたロイ、お揃いの上だけ着て２階の寝室から出てきたエド。
「確認の為だけにわざわざそんな物騒なもの出したのかね？」
「あいつらにとっても重要なことだからね。場合によっては…」
軍に人権はほぼ無いと言っていい。任務で有ればどんな理不尽なことでも遂行しなければならない。
フォルテもさることながらロイもそう表情に出さない。心理のさぐり合いはロイの一言で終わった。
「私は鋼のがどんな姿でもかまわないんだよ。エドワード・エルリックという魂に惹かれたのだから。では行くよ」
するりと抜け出し、通りに出るとエドがダッシュで抱きついてきた。
「何処行ってたんだよ！！」
「フォルテ嬢と打ち合わせだよ」
「でもいきなり居なくなるなよな、心配するだろ？」
素直なエドも好きだけど、天の邪鬼なエドも好きなわけで。
「行くか」
手をつないできたロイにエドは驚きながらも顔を真っ赤にしながら笑みを見せ、しっかり握り返した。
なんだかんだ言って大切にしてるじゃん。
この分なら大丈夫だろう。
純愛だ、と言っていたリザの言葉を思い出し、思わず笑ってしまった。
「マスタング大佐！」
入り口警備員が敬礼するのをロイが制する。
「忘れ物をしてしまってね。寄っただけだ、気にせず警備していたまえ」
「はっ！」
大佐の後ろに鋼の錬金術師殿が隠れるようにくっつき、その後ろには珍しく髪を一つに結っているホークアイ中尉、鋼の錬金術師殿の弟君が続きそして最後に最近何かと目にする中央のシュトーレン中尉。
面白い組み合わせだと思った。薄暗いためはっきりとは分からないが、真ん中の二人がなんとなく不思議に感じたが、目が合ったシュトーレン中尉に投げキッスを受けて、思わずドキリとしてしまい、先ほど思っていたことなど吹き飛んでしまった。
「は！いかんいかん、警備を怠っては！」
警備員は再び外へと目を向けた。
「ほっ…」
「ちょっとドキドキしました」
アルの声にフォルテが小さく吹き出した。
------みちや 今回難産だった…後よろしく。
中に入ってしまえば、執務室までの道は簡単だった。1,2度しか訪れたことのないフォルテと違い、あとの面々にとっては我が家も同然。ロイやホークアイは目をつむっても行くのは容易い事だった。元よりもう深夜に差し掛かりつつある時間で、人の気配は薄く、それでも尚普段あまり使われないルートで一行は進んだ。
「…何だか悪いことしてるみたいですよね…」
沈黙に耐えかねたアルフォンスの囁き声も、こんな時のせいか思ったより大きく廊下に響く。
「しかし、司令官公認で軍に忍び込む機会など滅多にないぞ」
「…大佐、不謹慎です」
ホークアイはたしなめるが、フォルテなどはやはり楽しそうだ。
「そう固いこと言うなよリザ。アタシなんてこんなのしょっちゅうだぜ」
フォルテの言葉にエドワードが目を輝かせた。
「しょっちゅう？」
「しかも、非公認」
「フォルテ、普段何をやってるんだ？」
「無問題、無問題v」
「モーマンタイって何ですか？」
今度の質問は弟からだ。
「シンの方の言葉でね、何の問題もないよ、とか何とかなるよ、とかそういう意味さね」
兄弟揃って目を輝かせた。アルフォンスは何時の間にやらフォルテの横に並び、エドワードもロイの腕さえ掴んで居なければ側に寄って行っただろう。
二人とも、それがどんな内容でも新しい知識を吸収することが快感に繋がる。だからフォルテの話は新鮮で。だがここまでのなつきようは、フォルテの人柄だろう。そしてフォルテも、そんな子供の好意を受け入れている。
大袈裟な表現ではなく、この兄弟二人の味方が増えたことに、ロイはニヤリと笑った。
「…さあ、着いたぞ」
------阿子
扉を開けて、一同中に入る。
「打ち合わせテーブルの上に置いてあったはずだが…」
「無いですよ？」
「そんなはずは…」
「ねぇぞ…どうなってんだ…？」
机の下にもない。
フォルテとアルの顔が蒼白になる。
「他心当たりはないのかい！？」
「いや、一応誰にも触らないようには言って置いたのだがね」
「だがね、じゃなくて！」
ロイから離れてひょこひょことロイの机へ移動するエド。
「兄さん？」
しゃがみ込むとそこに。
「あったーー！」
アルの叫びに皆が寄る。大佐の机の下に問題の物…葛篭があった。
「何でこんなところに…」
「そういえばテーブル使うに邪魔になるから移動させたんだ」
バキ
フォルテの拳がロイの頭部にヒットする。
「わ～ロイっ！ヒデェよ、フォルテさん！！」
「殺人はよくないです～！」
アルも慌ててフォルテを後ろから抑えた。
撃沈したロイの頭部には明らかにコブができていた。
「うわ～痛そう…(汗)」
エドがロイの頭を抱き寄せていたが、不規則な動きに。
擬音にするなら『すりすり。』
「ロイ？（///）」
「この可愛らしい胸ともお別れか…」
リザの拳銃が火を噴く。
「くたばれ、変態」二人が離れた所にフォルテの踵下ろしが決まる。ロイさん昇天(笑)
「さぁ元に戻すぞ～」
葛篭を机に乗せてその前にリザとエドが立つ。
「いいかい、合図したら二人で開けるんだ、いいね。いくぞ、アルフォンス」
部屋にいたら巻き込まれてしまうため、アルとフォルテは窓から外に飛び出した。窓をしっかり閉ざす。
『いいぞ～』
エドとリザが肯き合い、蓋を開けた。煙が広がり二人を包む。
「あ、大佐！！」
床に伏せたままにしていたのを思い出しアルが声を上げる。
二人とロイの位置は離れてる。煙も流れてはいないようだ。
「ま、大丈夫だろ」何かあっても自業自得というところか。次第に煙は収まり、そこには元に戻った二人が立っていた。
「成功…だな」
「よかった～兄さ～ん(泣)」
こうして世にも奇妙な体験は終わりをつげた…？
------みちや は～い、阿子さん最後よろしくです～なんか大佐の扱いだんだんひどくなってきてます(苦笑)
結論から言うと、マスタング大佐は女性にならなかった。しかも無傷。
「つまんないねぇ」
「どういう意味かね…？」
今はもう昼間で、何事も無かったかのように元の日常に戻っている。昨日迄の出来事がまるで夢の様に遠い。
エルリック兄弟は大手を振って朝から図書館へ行っていて、後で司令部に寄る約束をしている。ホークアイも不可抗力とはいえ、一日休んだ間に溜った仕事を鬼のように片付けている。間もなくその厳しい表情の侭、上司の元へ書類を運び込むのだろう。
ただ違うのは、執務室でロスとテクノロジーである葛籠の封印を行っているフォルテの姿と、決済中のロイの書類。内容は中央・東部間であった列車ジャックを秘密理に処理するためのモノ。
本来なら重罪だが、元々軍内の不祥事が原因でかつ内容がロストテクノロジーなだけあって、おとがめ無しで落ち着いたのだ。
「別に？でもさ、アンタって女性化しても美人じゃ無さそうだから、良かったよな」
「その予定は無いので、不美人で結構だ」
「そういう問題じゃ無くてさ～。リザとさ豆姫思い出してみなよ、美人だったろ？」
本当の美人は、そういうもんだ。葛籠の蓋をガムテープで貼る手の動きを止めてまで、フォルテは主張した。
「ところが、アンタは想像すら出来ない。てゆうかさ、一生その顔決定？」
少なからず自分の顔に自信とコンプレックスのあるロイとしては、カチンとこない筈がない。
「…君はさぞかし似合う事だろうね。いや、もしかして今のその姿が仮の姿なのかな？」
ロイは椅子に背を預け、明後日の方に向かって呟いた。
そしてその台詞が終らない内に、フォルテの右足が来客用テーブルを踏みつけた。
「…んだと？不美人」
「…誉めているつもりだが？」
「へえ？そーかい。何だかアンタの女装ってのにも興味が湧いてきたよ」
「君の男装は用意に想像がつくがね」
「…ふふふ」
「ふふふふ」
不気味としか表現の難しい笑い声が二人分、やがて部屋に響きわたった。
エドワードがアルフォンスと共に東方司令部を訪れたのは、丁度３時ごろだった。街で差入のお菓子を買い、お茶をいれたホークアイと執務室へと向かう。
秘密を共有している者同士何かこそばゆく、言葉も無く穏やかに笑いながら目的地に着いた。
「…ホークアイ中尉、ちょっとまって下さい？」
ノックをしようと挙げた掌を止めたのは、アルフォンスだった。首を傾げる二人に向かって、何故か無言のまま扉に耳を寄せる。
揃ってそっと扉に耳を寄せれば、詳しい内容まで聞き取れないがどうも怒鳴りあっているようだ。
やはり同じ秘密を共有している者同士だが、この二人はほのぼのとはいかなかったらしい。
「ど、どうしよう？」
「っても、お前この中に入れるか？」
それは無理！とアルフォンスは勢い良く首を振り、辞退を表明した。
「そういやフォルテさん、昨日も散々大佐の事攻撃してたよね…」
「流石のフォルテも、こんな所で大佐を抹殺はしないわ」
何処を突っ込むべきか兄弟揃って悩む。が、ホークアイはそれよりもと溜め息を吐きながら、銃を構えた。
「正気を失ったフォルテが、葛籠の蓋を開けなきゃいいんだけど…」
と言ってる側から、どかんと扉に何かが打ち当たった音がした。バキャっと壊れた音が続き、扉の隙間から白い煙が溢れ出る。3人は、煙から逃れるように後ずさった。
「ぎゃー！ホークアイ中尉ーっ」
「今、壊れる音がしませんでしたか！？中尉ーっ」
煙は止まらない。
そして、葛籠が壊れた今、元にも…。
------阿子 終わり(笑)本家ロステクネタでもめでたしめでたしでは終らないから、こーゆう風に…f^_^;
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