スクールデイズ
　　教室→保健室





視線を感じる。朝からずっと。でも授業中だけ。
犯人はわかってる。
―――――タケルだ
《あの》時の視線。だから自然と体が熱くなって、何も考えられなくなってくる…

「大輔くん。顔赤いけど…大丈夫？」
隣の席に座っている大輔の憧れの女の子・八神ヒカリが、心配してこっそりと声をかけてきた。
「だっ大丈夫…！」
大輔はがんばって笑顔を向けるが、でも顔が真っ赤だったので余計にヒカリに心配なさせることになってしまった。
「後ちょっとで終わるし…さ」
そう言っている間に午前の授業終りを知らせるチャイムが鳴った。
不安そうなヒカリをそのままに、大輔は給食の用意を始めた。
いつもなら真っ先に食べ終わっておかわりに入っている。
だが、先ほどの余韻か。どうしても食べる気が起きなくて、大輔はフォークを置くと周りが途端に騒がしくなった。
「どうしたんだ大輔！！」
「めっずらし〜！」
「雨が降るぞ！！」
でもあまり耳には入ってこない。唐突に肩に手がかかった。
「きっと風邪だね。保健室いく？」
タケルが覗き込んでくる。余計に顔が赤くなってくるのが自分でも分り、皆に見られないよう下を向いて隠した。
小さく頭を動かすと、タケルに支えられるようにして大輔は教室を出た。
保健室へつくまで無言のままで。居心地の悪い空気が大輔を襲う。我慢の限界が近づいた時、やっと目的の保健室へついた。中に入ればいつもいるはずの先生の姿は無かった。
「先生もお昼なんだね」
誰もいないことに大輔はホッとするが、タケルがいる限りこの熱さは消えない。
それがわかっていながら普段と変わりない態度で接してくる。
むかついてくるが、下手に行動を起こせばタケルに何されるか分かったものではない。それは短い付き合いからでも充分すぎるくらいに分るまで、大輔にも学習能力が備わっていた。
「もう、大丈夫だから。サンキューな」
早く一人になりたくて、タケルを押し出そうとするが、その腕はあっさりタケルによって制された。
「もう…限界なんでしょう？」
引き寄せられ、耳元で熱いと息と混ぜて言われてしまえば、膝はあっさりと力が抜けてカクンと崩れた。
「大丈夫？」
簡単にタケルに抱きかかえられてしまう。その体格差が癪だった。
「バカ…ヤロ…」
熱い吐息を混ぜて、ギュットきつくタケルの首に腕を回した。これから与えられるであろう自分の欲しいものを、少しでも自分に負担がかからないように考えながら。
タケルは誰にも見せない、大輔にだけ見せる極上の笑みを浮かべて、大輔をベッドにそっと置いて、自分も上に被さった。
ひと時の、二人だけの熱い時間が始まるーーー。





「タケルくん、確信犯ね」
それはその後ヒカリにこっそり言われたセリフ。
タケルは笑顔のまま、内心の焦りはポーカーフェイスに隠された。そして大輔はというと。
「へっくしゅん！」
午後はそのまま保健室で過ごす事になってしまった。ヒカリの詮索を受けずに良かったというべきかいなか？






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みちやさんの活力！復活のため書いたものです。最ご逃げに走ってしまいましたが（笑）デジでの学園シリーズはできれば全教室（今回は保健室ですが、理科室とか／笑）やってみたいなと…。さぁ今年もがんばりましょうね！！　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 2001/1/6　緋絽晶子