LOVE POWER





「話にもならないわね」
 トーマの祖母が冷たく言い放つ。
「お前も父親と一緒。訳も分からずこんな薄汚い小娘なんかに引っかかって…」
「おばあさま!!」
 この時ほどこの祖母と血が繋がっている事を憎いと思った事はない。
 しかも本人がいる前でなんという侮辱。
「息子のみならず孫にまで…貴女のご両親は一体どんな教育をしているのかしら?それとも日本人は皆そういった人種なのかしらね、まったく汚らわしい!」
「!!」
 その言葉にトーマは我慢の限界を越えた。
「貴女は…!」
 しかし遮ったのは大だった。
「さっきから聞いてりゃ…てめぇ何様のつもりだ…!」
「大…」
「トーマのばーさんだからと下手にでてりゃさっきからごちゃごちゃと!俺のことは何言われてもいい!だがなぁ、父さんと母さんを侮辱するのは許せない!!」
「言うことはそれだけですか」
「なっ!!」
 家柄が第一の祖母にこれ以上大の事を話すのも無駄だ。
「トーマ、いらっしゃい。貴方にはそれなりのしっかりした家柄の方と結婚し、ノルシュタインを継いでもらいます」
「お断りします」
 怒りがゲージを超えて逆に冷静になる。キレたと言えばそれまでだが。無表情なままトーマは言い放つ。
「トーマ!」
「何でも貴女の思い通りになると思ったら大間違いです。行こう大」
 トーマは一礼をして大の手を引っ張った。まだ怒りが収まっていない大は戸惑った。こんなトーマは見たことがない。
「ト…マ…?」
「すまない、大…不愉快な思いをさせた」
 大は頭を振った。むしろ辛い思いをしているのはトーマの方だと。
 厳しいとは聞いていたが予想以上だった。何より今日の大の格好はTシャツにジャケット、下はジーパンだ。初めて会うにしては失礼な格好だと思わなくはない。
 しかしいきなり日本別邸に来たトーマの祖母がイレギュラーだったのだ、不運としか言えないだろう。
「あの人は人格なんて必要ないんだ。すべて家柄だ名誉だと殻ばかりで中を見ようとしない」
 あの家には愛が無い。父が亡き母を求めていた理由が今なら分かる。
「家柄か…」
「大?」
「あのばーさんぎゃふんと言わせようぜ?」
 楽しいことを思いついたと、にかっと笑う大に、トーマは可愛いと思いつつも首を傾げた。


つづく。
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…最近更新が滞っている裏で連載中のトーマサ♀その後?お貴族様ありがちのトーマのおばあさま。友達からもらった設定で行くともう大のお腹には赤ちゃんがいたりするんだけど…まぁパラレルでも良いや(笑)大の家族偽造しますのでご注意くださいませ!
20070204