Good Love




「タケルーー！電話！」
　随分浮かれた母の声に、疑問に思いながらも宿題の途中でペンを置いて部屋を出た。
「誰？」
「トーマくんよ」
「えっ、トーマ？」
　母方の親戚に当たる二歳年上のトーマは文武両道・容姿端麗、天才肌のオーストリアの貴族様だ。小さい時に数度遊んだことはあったがここ数年は交流がなかったのだが。
『タケルか、久しぶりだな』
「どうしたの、いきなり」
『いや、暫く日本に滞在することになってね』
「ふ〜ん…」
『聞いたよ、君にステディな子がいるって』
「え、」
　母さんだな…。
　ルポライターの仕事の傍ら怪しげな小説を書いている関係で、大輔くんとの仲を打ち明けたときは反対所か両手をあげて喜んでいたのだ…
『ヤマトも美しくなっているだろうね』
「兄さんはもともと綺麗だよ。でも最近特に…」
　自分のことを棚に上げて何だが、思い出すだけで腹が立つ。兄が綺麗になった原因。
　確かに昔『お兄ちゃんになって』と言ったさ。今でも尊敬しているさ。でもそれとこれとは別なのだ。
　ちょっとあの変わりようは異常だよ、兄さん！！
『僕の子猫ちゃんも可愛いよ。紹介しあいっこしないかい？』
「はぁ？」
　トーマはこんな性格をしていただろうか？？久しぶりすぎて思い出せなくなっている。
『ヤマトも相手がいるんだろう？トリプルデートと行こうじゃないか』
「はぁ！？」
『そうだな…明後日の日曜日はどうかな。まぁ僕の方でコールが入らないとも限らないが…まぁ大丈夫だろう』
「ちょっ何勝手に…」
『なに、気にすること無いさ、タケル。僕の大は誰よりも可愛いからって君のステディを貶すようなマネはしないさ』
「大輔くんは誰よりも可愛いよ！」
　売り言葉に買い言葉。言った後しまったと思った。後に悔いると書いて後悔と言う。
『なら決まったな。10時に迎えに行くよ』
　トーマはそれだけ言うと嬉しそうに電話を切った。
「どうしよう…」
　もし兄さんに連絡しなかったとしてもあの調子だ押しかけるくらいするだろう。
「太一さん…確か居たよな…」
　兄を独り占めしている太一さんに、ちょっとした復讐も兼ねて。
　それにお互い部活で忙しくて、暫くデートらしいものをしていなかったなと思い直し。
「よし♪」
　愛しい人へ繋がる番号を押した。


つづく…？？？



_____________________________________________　 __　_
…タケルとトーマはハトコです。タケルのおじいちゃんとトーマの御祖母さんが兄妹、奈津子さんとトーマのお父さんが従兄妹ということで（笑）ここでの大は男の子です。（裏が女の子なので一応・苦笑）トーマが変になってゆく…
20060716