天下無敵のダーリン１




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　ぞわりと背筋をかけあがったのは嫌な予感というやつだろうか。
　０と１とで構成される世界に好んで身を置くロイドにとって、感覚での物言いには些か抵抗がある（インスピレーションは別物だが）。
　リアリストであるロイドに第六感だ何などと、説いても頭から否定するのだが。
　流れるようにキーボードの上を動く指が止まった。
　眉間に皺が寄って行くのを止められない。
　度重なれば統計で済ませられるくらいは、足を突っ込んだ世界にいる。
　バンと開け放たれた扉から現われたのは第一皇子を差し置いて、次期皇帝の座につくのではともっぱら噂される第二皇子ことシュナイゼル・エル・ブリタニア。
「ロイド！」
　声を聞くだけでわかってしまう。
　何なんだろうね、あの爽やか五割増しの笑顔は。
　ロイドはイヤだイヤだとウンザリとした顔を隠すこともしない。バトレーが居れば何たる無礼な！と怒りも露わにするのだろうが珍しくも側にはいなかった。まぁ居ても態度を変える気は更々無いのだが。
　学生時代から学友…もっと的確に言い換えるなら悪友であることも要因だろう。
　常に控える側近がいないと言うことは巻いてきたのか。
　これまた珍しい。
　それよりもあの笑顔。今までの経験からするに絶対に何か企んでいる。いや企むというよりかは世紀の発見を試みたい探究心の現れか、何度それに巻き込まれてきただろうか。
「今度は何」
　上司だろうが皇子殿下だろうが関係ない粗雑な扱いは今更で、シュナイゼルは苦笑するが気にしないのは彼もロイドの事をよく知った上で許容しているからだ。
「相変わらずつれないな」
　何を言ってるのかこのイかれやろうが。
　天下無敵のロイヤルスマイルを浮かべながら瞳を細め、瞳を真っ直ぐ見つめられれば女性ならイチコロだろうがあいにくこちとら根っからの科学者男児。
　一体何を口走ろうとしているのか。
　ロイドは嫌な予感にシュナイゼルの口をふさごうとして、だが残念ながら一歩遅かった。


「私との子供を産んで欲しい」




「はぁ！？」



　実にたっぷり時間が空いてから、発音できたのはたったそれだけ。
　あまりにも予想外の事にさすがのロイドも思考停止に陥った。
「ロイド〜お〜い」
　目の前で手を振られてはっと気づく。
　姿勢を取り成して、ずれた眼鏡を正すとガラス越しにシュナイゼルを睨みつけた。
「僕これでも歴とした男ですが」
「当然知ってるさ。君のを何度…」
「んで？」
　これ以上彼に話されるとこちらのダメージが大きくなる。早々遮って本題をさっさと聞く。
「私は君との血を分けた子供が欲しい。だから今まで研究していたのだが、ついに完成までこぎ着けたのだよ！」
　確かに、巷では次期ブリタニア皇帝の座に一番近いはずの男だと言われている…はずなのだが。
　実は天然大歩危誑し野郎だと知る人はいったい何人居るのだろうか。
「さぁ行くぞ！」
　ぱちんと指を鳴らし、入ってきたのは彼直属の騎士たち。
「さぁって何言って…ちょっ！…ふざけるな〜！！」
　両腕を押えられ、簡単に体を持ち上げられて抵抗さえ出来ない。
　後に残されたのは途中まで打ち込まれたまま残された文字の後に点滅するカーソルに、くるくる回る椅子がゆっくり静止する。


　どうなる運命！？


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私の中のシュナ様は悪役かスザクのような天然かのどっちか。んでシュナ様のご相手はロイドさんが１番。今回はこの二人でギャグですが次はスザルルでシリアス？です。でも子供が出来る時点でギャグ。うんうん
20070921