SHINING STAR〜わたしだけの翔星〜10





「スザク…？」

「ルル…？何でここに…」


　二人は唖然としながら見つめ合う。
　スザクは婚約者の名前を今更ながらに思い出した。
《ルルーシュ・ヴィ・ブリタニア》
　ルルーシュは名を知られぬ為、そして愛称でもあった《ルル》を名乗っていたのだ。
「やられた…」
　思い起こせばあそこはブリタニア国の身分が高い方の別荘だと言っていなかったか。
　二人の出会いは偶然ではなかったのだ。
「スザ…クが…？婚約者…俺の…」
　公の場であるにも関わらず、二人はショックで立ち上がれない。
　あの立ち回りは一体なんだったのか？自分は閉じ込められ、スザクは傷まで負ってしまったというのに。
「ワシが知らぬとでも思ったか、ルルーシュよ」
　皇帝陛下は余興が大好きだ。そしてそれはスザクの父親もそうであろう、知っていて何も話さなかったのだから。
　自分達は両親（りょうおや）に遊ばれていたのだ。類は友を呼ぶというが、性格悪いところが似すぎている。
　性質が悪すぎだ！
「だが、ワシの大切な娘をやるのだ、それなりの覚悟はできただろうて。のぉ枢木の息子よ」
　世界を制する力を持つということは、逆に狙われやすい立場でもある。皇女と言えどそれなりの教育を施してきたがやはり限界はある。今回は多勢に無勢ではあったが、スザクの力もそれなりに伺えて皇帝としては満足だった。
「スザク！」
　ルルーシュは立上り、階段を掛けてスザクの胸に飛び込んだ。
「ルル…シュ様っ」
「ばか！いつものようで構わない」
「うん」
　少し涙目のスザクに、ルルーシュは苦笑しながら細い指を傷のついた頬へと伸ばした。
「痛かっただろう？」
　ルルーシュを守るため傷ついたそこをそっと撫でる。
「いいや。僕こそごめん、守れなかった」
　知らなかったとは言え武道を嗜みそれなりに力があるとどこか過信していた為ショックは大きかったが、同じ過ちは繰り返さないと帰ってからトレーニングの算段を立てるスザクである。
　近づいていく二人の顔にストップを掛けたのはやはり娘可愛い父親だった。
「うぉっほん！」
　皇帝の咳払いに、やっとここが何処だか思い出した二人は慌てて離れた。それでも視線は離れることがなかったが。
「ルルーシュ、お前の留学の手配は整っておる。行って来い」
　かつて今は亡き母・マリアンヌが住んでいた地、日本。
「言われなくても行ってやる、くそ親父！！」
「ルルーシュ！！！」
　あっかんベーをしながらの口汚い娘の言葉に噴出する皇帝に、だがルルーシュは構わずスザクの手を引っ張ると聖堂を駆け抜けた。



「お姉さま…ごめんなさい」
　ナナリーは開口一番膝に着く程に頭を下げた。
「ナナリー？」
　自分が早く気付いて入れば、こんなすれ違いなど起きなかっただろうに。これほど自分の目が不自由なことを後悔したことはない。
「いいや、ナナリーのお陰だよ」
　逃がしてくれなかったらスザクに逢うことはなかった。
　遠回りしてしまったが、《ルル》として逢えたからスザクは気負いなく接してくれただろうし、二人の愛を確かめることも出来たのだから。
「お姉さま。お幸せに」
　離れてしまうのは寂しいけれど、永遠の別れではないから。
「ありがとう、ナナリー」


　そうしてルルーシュはスザクと共に日本へと旅立った。



（完）
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やっぱりハッピーエンド。学園生活やろうと思ったけど途中で終わっちゃうといけないので（苦笑）最後までお付き合いありがとうございましたm(_ _)m。
20070130