a vow of silence




12月25日朝。クリスマスパーティーをしようと言い出したのはもちろんミレイ。会長権限を大いに振りかざし、役員を巻き込んで大騒ぎするのはいつものこと。ただ今年は新役員にカレンとスザクがいることで、さらにテンションがあがっていることは間違いない。
持ち込まれた酒に皆ほろ酔い気分になった頃。スザクはふとルルーシュが外へ出る後ろ姿を視界の角にとらえた。
「ルル…？」
この様子だ、二人抜けても気づかれないだろう。
クラブハウスをそっと抜け出すと後を追った。
夕方から行われているパーティーはいつまでやるのか。
自分とは違い、他のメンバーはそれぞれブルタニアで名を連ねる名家のご令息・ご令嬢だ、家からの迎えがくることは間違いない。
そんな彼らが自分をイレブンと蔑むことなく受け入れてくれたことに、どれほど救われただろうか。でもやはりそれもルルーシュの存在が大きいことは間違いない。
ルルーシュがいてくれたから…。
離ればなれでいた七年の歳月は大きい。だから不安になるのだろう、少しでも彼がいなくなることに。
「こっちだと思うんだけどな…」
かくれんぼで、何故かスザクはルルーシュを見つけるのが得意だった。見つければ拗ねるルルーシュを宥めてと、繰り返して楽しんでいたのは遠い昔のこと。
垣根を分け、見つけた先は中庭の小さな庭園。
ひっそりと、ルルーシュは鈍色の空を見上げていた。
自分の吐く息はこんなにも白いのに。まるでそこにいないかのような錯覚を起こす。
何よりも普段きつい眼差しのアメジストの輝きは、色を無くしたかのような虚ろに変え、何故か今にも消えてしまいそうで。
怖くなって思わず手を伸ばした。
「！」
育った環境のせいか、気配に敏感なはずのルルーシュは、だがたった二人にだけはその心を無防備にさらす。最愛の守るべき妹と、そして。
「スザク、どうした？」
「どうした、じゃないよ」
頬を刺すほど冷えた風の中で。
もともと低い体温はこの寒さに更に下げられ、こんなにも冷たい。
「スザク？」
冷えすぎた体は暖かいはずの自分の体温さえ熱を奪う。
手もこんなにも冷たい。
「ダメだよ、ルルーシュ」
「お前は心配性だな」
苦笑しながらもどこか柔らかな笑顔は変わらない。
力なく、大人に守られていたあの頃。分かれるしかなく手を離してしまったが。
あの頃とは違う。今なら守ることが出来る。
だから。
「あ…」
ルルーシュの小さな吐息に目を開ければ、白く舞う雪が。
「通りで寒いと思った」
ゆっくりと振り続ける雪が世界を白に染めてゆく。
雪が周りの音を消し、世界で二人きりだと錯覚させる。
「このまま…」
呟き、頬を染めるルルーシュが堪らなく愛しくて、更にきつく抱きしめた。
本当なら、本国に居ればルルーシュは手の届かない場所にいたはずだった。それがこの手の中に在る事はなんて幸運なのだろうか。
大丈夫、まだ希望は捨てなくて良い。
この聖夜に誓おう。国のためでもなく、自分のためでもなく。

ただ一人の君の為に世界を変えてみせると。



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…何か当初書きたいことと違ってきちゃったが、まぁいっか（苦笑）本当はヤりたかったけど表なので（笑）大好きですよ。特に６話でずっぽりもぐら。スザクは天然ぽいけど黒いと思う。ルルは別な意味で純粋なんだろうな。生粋の天然とも言うか。暫くはこの二人でご飯３杯行きたいと思います。よろしくです！
20061225